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OKRとは?MBOとの違いと、中小企業が取り入れるときの注意点

読了 約11分

OKR(目標と主要な結果)の意味と由来、MBOとの違いを比較表で整理。目標と主要な結果の書き方と例、評価と切り離す理由、中小企業が小さく始める手順と注意点を解説します。

この記事でわかること

  • OKRは「目指す姿(O)」と「達成を測る結果(KR)」を組にして、組織の足並みをそろえる目標管理の手法
  • MBOが評価と結びつきやすいのに対し、OKRは挑戦を促すため評価と切り離すのが基本
  • 中小企業は全社1つのOから始め、KRは3つ程度・四半期で振り返ると続けやすい
目次
  1. 01OKRとは
  2. 02OKRとMBOの違い
  3. 03OKRのメリット
  4. 04OKRのデメリットと注意点
  5. 05OKRの書き方と例
  6. 06中小企業がOKRを取り入れる手順
  7. 07OKRを人事評価と切り離す理由と、評価とのつなぎ方
  8. 08まとめ
  9. 09よくある質問

OKRとは「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略で、目指す姿(O)と、その達成を測る具体的な結果(KR)を組にして立てる目標管理の手法です。

全社から個人までの目標を公開してつなげ、四半期ほどの短い周期で振り返るのが特長です。MBOと似ていますが、OKRは挑戦的な目標で組織の足並みをそろえることを目的とし、人事評価とは切り離して運用するのが基本です。

この記事では、OKRの意味と由来、MBOとの違い、目標と主要な結果の書き方と例、中小企業が取り入れるときの注意点を解説します。

OKRとは

OKRは、1つの目標(Objective)と、その達成度を測る3〜5個程度の主要な結果(Key Results)で構成されます。

  • Objective(目標):何を目指すのか。人の気持ちを動かす、定性的で少し背伸びした姿
  • Key Results(主要な結果):目標に近づいたことを何で測るのか。数値や期限で判断できる結果

目標だけでは「達成したか」が分からず、数値だけでは「なぜそれを追うのか」が伝わりません。OKRは、この2つを必ず組にすることで、方向と基準を同時に共有します。

由来はインテル、グーグルで広まった

OKRは、1970年代に米インテルでアンディ・グローブが、ドラッカーのMBOをもとに形づくった手法とされています。

その後、インテル出身の投資家ジョン・ドーアが1999年に創業間もないグーグルへ紹介し、同社での活用をきっかけにIT企業を中心に広まりました。日本でも2010年代後半から、スタートアップや一部の大企業で取り入れられるようになったとされています。

OKRの基本的な特長

OKRには、ほかの目標管理と比べて次のような特長があります。

  • 周期が短い:多くは四半期ごとに目標を立て直し、週次や隔週で進み具合を確かめる
  • 目標を公開する:経営者から個人まで、誰が何を目指しているかを全員が見られる
  • 上下左右でつなげる:全社のOKRを受けて部署・個人のOKRを立て、部署どうしの連携も目標でそろえる
  • 高い目標を置く:すべて達成できる目標ではなく、7割ほどの達成でも十分な成果といえる高さに置くことが多い

ただし、すべてのOKRを高い目標にする必要はありません。必ず達成すべき目標は「100%達成を前提とするOKR」として、挑戦的なOKRと分けて扱う考え方もあります。

OKRとMBOの違い

OKRとMBOは、どちらも「目標を決めて進み具合を管理する」仕組みです。違いは目的と運用のしかたにあります。

観点OKRMBO(目標管理制度)
主な目的挑戦的な目標に向けて組織の足並みをそろえる個人の目標達成を通じて成果と自律を促す
目標の高さ7割ほどの達成でも成功とみなせる高い目標が多い努力すれば達成できる、少し高めの目標が多い
周期四半期など短い周期が多い半期・1年が多い
公開範囲全社に公開する本人と上長の間で共有することが多い
評価との関係人事評価と切り離すのが基本達成度を人事評価に使うことが多い

いちばん大きな違いは、評価と結びつけるかどうかです。MBOは達成度を評価や処遇の根拠に使うことが多い一方、OKRは達成度をそのまま評価に使わないことが推奨されています。

MBOの仕組みや形骸化しやすい理由は、MBO(目標管理制度)とは?で詳しく解説しています。

KPIとの違い

KPIは、目標に向けた進み具合を測る「指標」そのものです。売上や問い合わせ件数など、事業の状態を継続して追うのに使います。

OKRのKRはKPIと似ていますが、KRは「この期に目標へ近づくために動かしたい数値」として期ごとに選び直します。すでに追っているKPIの中から、今期特に伸ばしたいものをKRに置く、という使い方もできます。

OKRのメリット

会社の方向と一人ひとりの仕事がつながる

全社のOKRを起点に部署や個人のOKRを立てるため、「自分の仕事が会社の何に役立つのか」が見えやすくなります。

目標が公開されているので、ほかの部署が何を目指しているかも分かります。部署どうしで同じ方向を向いて協力しやすくなるのも利点です。

挑戦的な目標に取り組みやすい

達成度をそのまま評価に使わないため、失敗を恐れずに高い目標を置けます。

確実に達成できる目標だけを並べると、現状の延長線上の成果にとどまりがちです。OKRでは「届くか分からないが目指したい」目標を掲げることで、やり方そのものを見直すきっかけが生まれます。

変化に合わせて目標を立て直せる

四半期ごとに目標を見直すため、事業環境が変わったときも古い目標を抱えたままになりにくくなります。

週次や隔週の確認で進み具合を追うので、うまくいっていない取り組みに早く気づき、手を打てます。

OKRのデメリットと注意点

評価と結びつけると低い目標ばかりになる

OKRの達成度をそのまま人事評価や昇給・賞与に使うと、社員は達成しやすい低い目標を選ぶようになります。

これではOKRの前提である「挑戦的な目標」が成り立たず、MBOで起きやすい形骸化と同じ問題を抱えることになります。

運用の手間がかかる

短い周期で目標を立て、週次で確認し、四半期ごとに振り返るため、慣れるまでは手間がかかります。

人事の専任担当がいない会社では、最初から全社員に個人のOKRを立ててもらうと、運用が続かないことがあります。

目標の立て方に慣れが必要

「目指す姿」と「測れる結果」を分けて書くのは、最初は難しく感じられます。

目標が作業の一覧になったり、KRが「〜を実施する」という行動だけになったりしがちです。書き方の型を共有し、最初の数回は経営者や管理職が一緒に書くと定着しやすくなります。

OKRの書き方と例

Objective(目標)の書き方

Objectiveは、読んだ人が「それを目指したい」と思える、定性的な目指す姿で書きます。

  • 数値は入れず、状態や姿を言葉で表す
  • 四半期で届くか届かないかの、少し背伸びした高さにする
  • 部署や個人のOは、全社のOにどうつながるかが説明できるようにする

Key Results(主要な結果)の書き方

Key Resultsは、Objectiveに近づいたかを判断できる結果を、数値や期限で書きます。1つのOに対して3〜5個が一般的ですが、慣れるまでは3つ程度に絞ると扱いやすくなります。

  • 「何をするか」ではなく「どうなったか」で書く
  • 振り返りのときに、誰が見ても達成度を判断できる基準にする
  • 担当者を決め、本人が進み具合を確かめられるようにする

「営業会議を毎週開く」のような行動は、KRではなく、KRを達成するための取り組みとして別に管理します。

OKRの例

中小企業でよくある場面をもとに、OKRの例を紹介します。

場面Objective(目標)Key Results(主要な結果)
全社(受注型の製造業)「あの会社に頼めば早い」と言われる会社になる見積もり回答までの日数を平均5日から2日にする/短納期の相談件数を四半期で20件にする/既存顧客の再発注率を60%から70%にする
営業部既存のお客様から一番に相談される存在になる既存顧客30社すべてと四半期に1回以上の定期面談を行う/面談からの追加提案を15件、うち受注5件にする
総務・人事新しく入った人が安心して働き始められる職場にする入社手続きのチェックリストを作り、全件で使う/入社1か月後のアンケートで「困りごとを相談できた」と答える人を8割以上にする
個人(店舗スタッフ)常連のお客様に名前で呼ばれるスタッフになる常連のお客様50人分の好みを記録する/来店アンケートでスタッフ名を挙げてもらう件数を月5件にする

どの例も、Oは言葉で目指す姿を描き、KRはその姿に近づいたかを数値で判断できるようにしています。

中小企業がOKRを取り入れる手順

ステップ1:OKRを使う目的を決める

最初に「何のためにOKRを使うのか」を決めます。人事評価の仕組みを置き換えるためではなく、全社の方向をそろえる、挑戦的な取り組みを進めるといった目的が向いています。

評価はこれまでの制度で続け、OKRは方向合わせの道具として別に回す、と最初に説明しておくと、社員も安心して高い目標を置けます。

ステップ2:全社のOKRを1つだけ立てる

いきなり全員が個人のOKRを立てるのではなく、まず全社で1つのOと3つ程度のKRから始めます。

経営者が案を作り、管理職と話し合って決めると、現場の実感とずれにくくなります。

ステップ3:部署やチームのOKRにつなげる

全社のOKRが決まったら、部署やチームごとに「そのために自分たちは何を目指すか」を考えてOKRを立てます。

個人のOKRは、運用に慣れてから必要な人だけ立てる形でも十分です。少人数の会社なら、全社とチームの2段階で回すほうが続けやすいでしょう。

ステップ4:週次や隔週で進み具合を確かめる

朝礼や定例会議の時間を少し使い、KRの進み具合と、うまくいっていないことを共有します。

大切なのは、数値の報告会にしないことです。「何が妨げになっているか」「誰の助けが必要か」を話す場にすると、OKRが協力のきっかけになります。個別の状況は1on1で聞くとよいでしょう。進め方は1on1とは?で解説しています。

ステップ5:四半期ごとに振り返り、次のOKRを立てる

四半期の終わりにはKRごとに達成度を確かめ、何がうまくいき、何が足りなかったかを振り返ります。

達成度は0〜1.0や0〜100%で表すことが多く、高い目標を置いている以上、6〜7割でも前向きに受け止めます。振り返りで得た学びをもとに、次の四半期のOKRを立てます。

OKRを人事評価と切り離す理由と、評価とのつなぎ方

切り離すのは「挑戦」を守るため

OKRの達成度で評価や処遇が決まると、社員は確実に達成できる目標を選ぶようになります。高い目標を置くというOKRの前提が崩れるため、評価とは切り離すのが基本とされています。

また、四半期ごとに目標を見直すOKRは、半期や1年で評価する人事評価の周期とも合いにくいという事情もあります。

評価では「取り組み方」を見る

切り離すといっても、OKRへの取り組みを評価でまったく見ないわけではありません。達成度という数値ではなく、どんな工夫をしたか、周りとどう協力したかといった行動を評価の材料にする方法があります。

評価そのものは、スキルや行動の基準など別の物差しで行います。評価制度全体の組み立て方は評価制度の作り方で解説しています。

目標は「いつでも見える場所」に置く

OKRもMBOも、期初に立てたまま見返さなければ形だけになります。本人と上長がいつでも目標と進み具合を確認し、面談のたびに話題にできる状態にしておくことが大切です。

JOB COMPASSの育成目標では、本人も上長も目標の進捗と状態を更新でき、登録した目標は面談の画面にも表示されるため、期中の対話の材料として使えます。

まとめ

  • OKRは、目指す姿(Objective)と、達成を測る結果(Key Results)を組にして立てる目標管理の手法です。
  • インテルで生まれ、グーグルでの活用をきっかけに広まったとされています。
  • MBOとの大きな違いは、挑戦的な目標を置くことと、人事評価と切り離して運用することです。
  • Oは定性的な目指す姿で、KRは「どうなったか」を数値や期限で書きます。KRは1つのOに3〜5個が一般的で、始めは3つ程度に絞ると扱いやすくなります。
  • 中小企業は、全社1つのOKRから始め、週次の確認と四半期の振り返りで回すと続けやすくなります。

OKRの価値は、目標の書式よりも「全員が同じ方向を見て、こまめに話し合うこと」にあります。まずは全社の目標を1つ掲げ、朝礼や定例会議で進み具合を話題にするところから始めれば、無理なく取り入れられます。

よくある質問

OKRとMBOは併用できますか?

併用できます。たとえば、評価にはこれまでのMBOやスキル・行動の評価を使い、OKRは全社やチームの方向をそろえる道具として別に回す方法があります。

その場合は、どちらの目標が評価に使われるのかを社員に明確に伝えておくことが大切です。あいまいなままだと、OKRでも低い目標を選ぶ人が増えてしまいます。

少人数の会社でもOKRは使えますか?

使えます。少人数の会社では、全員が全社の目標を直接共有できるため、方向をそろえやすいという利点があります。

最初から個人ごとのOKRを立てる必要はありません。全社で1つのOKRを掲げ、定例会議で進み具合を確かめるところから始められます。

KRを達成できなかったときはどうすればよいですか?

高い目標を置くOKRでは、KRを達成できないことは珍しくありません。6〜7割の達成でも、前の四半期より前進していれば成果と受け止めます。

大切なのは、達成できなかった理由を振り返り、次の四半期のOKRに生かすことです。取り組み方に問題があったのか、目標の置き方に問題があったのかを分けて考えると、次の目標を立てやすくなります。

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