仕事の目標設定の書き方を、良い目標の条件・5つの手順・書き方の型で整理。営業・事務・製造・管理職などの職種別の例文、数字にしにくい定性目標の書き方、よくある失敗と書き直し例を紹介します。
この記事でわかること
- 良い目標は「期末に本人と上長が同じ判断をできる」目標で、何を・どこまで・いつまでにの3点で書く
- 数字にしにくい仕事は「状態・行動・成果物」のどれかで達成の基準をつくる
- 「努める」で終わる目標は達成した状態を書き足し、数を3〜5個に絞ると期中に使える目標になる
目次
仕事の目標は、「何を」「どこまで」「いつまでに」の3点がそろうように書くのが基本です。
期末に本人と上長が「達成できたか」を同じように判断できれば、それは良い目標といえます。数字にしにくい仕事でも、達成した状態・行動・成果物のどれかで基準をつくれば、測れる目標になります。
この記事では、良い目標の条件と書き方の手順、営業・事務・製造・管理職などの職種別の例文、定性目標の書き方、よくある失敗と書き直し例を紹介します。
仕事の目標設定とは
仕事の目標設定とは、一定の期間(半期や1年が多い)に自分が何を達成するかを決め、上長と合意することです。
多くの会社では、目標管理制度(MBO)の一部として行われます。期初に目標を立て、期中に進み具合を確かめ、期末に振り返って評価や次の目標につなげる流れです。MBOの仕組み全体はMBO(目標管理制度)とは?で解説しています。
目標を立てる目的
目標は、評価のための書類ではありません。目標を立てる主な目的は次の3つです。
- 仕事の優先順位をはっきりさせる:限られた時間を何に使うかが決まる
- 会社と自分の仕事をつなげる:自分の仕事が組織の何に役立つかが見える
- 成長の手応えをつかむ:振り返りのたびに、できるようになったことが分かる
目標を評価のためだけのものと考えると、確実に達成できる低い目標を選びがちです。何のために目標を立てるのかを上長と話し合っておくと、少し高い目標にも挑戦しやすくなります。
良い目標の3つの条件
良い目標とは、期末に本人と上長が同じ判断をできる目標です。次の3つの条件で確かめます。
条件1:達成したかどうかを判断できる
数値・期限・成果物など、判断の基準が書かれていることです。
「顧客満足度を高める」では、どうなれば達成なのかが人によって変わります。「アンケートの満足度を5段階で平均4.0以上にする」なら、誰が見ても同じ判断になります。
条件2:会社や部署の目標とつながっている
個人の目標が、会社や部署が今期目指すことの一部になっていることです。
部署の目標が「既存顧客からの売上を伸ばす」なのに、個人の目標が新規開拓だけでは、努力が組織の成果につながりにくくなります。
条件3:少し背伸びすれば届く高さである
今の実力で確実に達成できる目標でも、どう頑張っても届かない目標でもなく、工夫すれば届く高さに置くことです。
低すぎる目標では成長につながらず、高すぎる目標は早い段階で諦めてしまいがちです。高さに迷ったときは、前期の実績を基準に、どこまで上乗せするかを上長と話し合います。
「SMARTの法則」も参考になる
目標の条件を整理した考え方に「SMARTの法則」があります。次の5つの要素の頭文字をとったものです。
- Specific:具体的である
- Measurable:測定できる
- Achievable:達成できる
- Relevant:組織の目標と関連している
- Time-bound:期限がある
各要素の言葉には「Realistic(現実的)」など、いくつかの言い換えがあります。目標案ができたら、この5つを順に当てはめて、足りない要素がないかを確かめるのにも使えます。
目標設定でよくある失敗
目標がうまく機能しないときは、書き方に共通したパターンがあります。
「努める」「徹底する」で終わっている
「売上アップに努める」「報連相を徹底する」のような目標は、何をすれば達成なのかが分かりません。
期末の振り返りでは「努めました」としか言えず、上長も評価の根拠を示せなくなります。
目標が多すぎる
日々の業務をすべて目標に書き出すと、10個を超えることもあります。
目標が多いと一つひとつに力を注げず、期中の面談でも話しきれません。目標は3〜5個程度、初めてなら3個までに絞るのが目安です。
いつもの業務をそのまま書いている
「毎月の請求書を発行する」のように、普段どおり仕事をすれば必ず達成する目標は、目標を立てる意味が薄くなります。
いつもの業務を目標にするなら、「ミスをゼロにする」「作業時間を短くする」など、今より良くしたい点を加えます。
行動だけで、何のためかが書かれていない
「週1回勉強会を開く」だけでは、勉強会を開けば達成になり、その結果どうなったかは問われません。
行動は目標を達成するための手段です。「新人が一人で見積もりを作れるようにするため、週1回勉強会を開く」のように、目指す状態とあわせて書きます。
本人に決める余地がない
上長が数字を割り当て、本人はそれを書き写すだけの目標は、ノルマと変わりません。
本人が納得していない目標は、期中に見返されず、未達の理由も「無理な目標だったから」で終わりがちです。
目標設定の書き方5ステップ
失敗を避けるには、いきなり目標を書き始めるのではなく、次の順番で考えるのが近道です。
ステップ1:会社と部署の目標を確かめる
最初に、会社と部署が今期何を目指しているかを確かめます。
方針が共有されていなければ、上長に「今期、部署として一番大事にしていることは何か」を聞いておきます。ここがずれると、どれだけ書き方を整えても組織とつながらない目標になります。
ステップ2:自分の役割から取り組むテーマを選ぶ
部署の目標に対して、自分の役割でできることを書き出し、今期の重点テーマを3つ程度に絞ります。
テーマを選ぶときは、次の2つの視点を混ぜるとバランスが取れます。
- 成果のテーマ:売上・品質・効率など、仕事の結果に関わること
- 成長のテーマ:身につけたい知識やスキル、任されたい役割に関わること
ステップ3:「何を・どこまで・いつまでに」で書く
テーマごとに、達成した状態を「何を・どこまで・いつまでに」の3点で書きます。
- 何を:取り組む対象(既存顧客への提案、請求業務の手順など)
- どこまで:達成したと言える数値や状態(5社で導入、作業時間を半分など)
- いつまでに:期限や途中の区切り(期末まで、9月末までに手順書を完成など)
ステップ4:達成のための行動計画を書く
目標の下に、達成に向けて何をするかを2〜3個書きます。
行動計画があると、期中の面談で「計画どおり動けているか」「やり方を変えるべきか」を話し合えます。目標が未達でも、どこでつまずいたかが振り返りやすくなります。
ステップ5:上長と話し合って合意する
目標案をもとに上長と面談し、内容と難易度をすり合わせます。
このとき、「どうなっていれば達成と言えるか」を言葉で確かめておくことが大切です。達成に必要な支援(研修や他部署との調整など)もあわせて話し合います。面談の進め方は1on1とは?で解説しています。
目標シートに書くときの型
1つの目標は、次のような型で書くと整理しやすくなります。
【目標】既存顧客20社に新サービスを提案し、期末までに5社で導入を決める
【部署目標とのつながり】既存顧客からの売上を伸ばす
【行動計画】
・6月末までに提案資料を作り、上長の確認を受ける
・毎月5社ずつ訪問して提案する
・導入を見送ったお客様の理由を記録し、月1回見直す
【達成の基準】導入決定5社で達成、3〜4社は一部達成「達成の基準」まで書いておくと、期末の判断で本人と上長の認識がずれにくくなります。
職種別の目標設定の例文
ここでは、職種ごとに目標の例文を紹介します。数値や期限は一例なので、自分の仕事の状況に合わせて置き換えて使えます。
営業職
営業は成果を数字で表しやすい一方、売上だけの目標になりがちです。数字の目標に加え、成果につながる活動や、チームへの貢献も目標にできます。
- 既存顧客20社に新サービスを提案し、期末までに5社で導入を決める
- 新規の商談につながる紹介を、既存のお客様から期末までに10件いただく
- 受注に至った提案の事例を月1件まとめ、営業会議で共有してチームの提案資料に加える
事務・総務
事務・総務は数字で成果を表しにくい職種ですが、作業時間・ミスの件数・手順書などの成果物で基準をつくれます。
- 月次の経費精算の手順を見直し、1回あたりの処理時間を3時間から2時間に短くする
- 期末までに、総務によく寄せられる問い合わせ10件のQ&Aを作り、社内で共有する
- 請求書の発行ミスを、前期の年間6件から今期0件にする
製造・現場
製造や現場の仕事では、品質・安全・生産性の3つが主なテーマになります。自分が関わる工程やラインの範囲で目標を置くと、努力が結果に結びつきやすくなります。
- 担当ラインの不良の原因を月1回集計し、上位2件の対策を期末までに実施して不良率を下げる
- 期の半ばまでにフォークリフトの運転技能講習を修了し、出荷作業のシフトに入れるようにする
- ヒヤリハットの報告を月2件以上出し、職場の安全ミーティングで対策を話し合う
接客・サービス
接客・サービスは、お客様の反応や店舗の運営に関わる目標が中心になります。お客様アンケートや再来店など、すでにある数字を使うと測りやすくなります。
- 来店アンケートの満足度を、5段階で平均3.8から4.2以上にする
- 常連のお客様の好みを記録する仕組みを作り、店舗ミーティングで月2回共有する
- 新人スタッフ2人にレジ締めを教え、期末までに一人でできるようにする
技術職・エンジニア
技術職は、成果物の品質や、仕事の進め方の改善を目標にしやすい職種です。
- 担当する機能のリリース後の不具合件数を、前期より半分に減らす
- 手作業で行っているテストのうち3種類を期末までに自動化する
- 社内勉強会で新しい技術の紹介を2回行い、チームの開発に取り入れる
管理職
管理職の目標は、自分の成果よりも「チームの成果」と「部下の育成」が中心になります。
- メンバー全員と月1回1on1を行って担当案件の遅れに早めに手を打ち、部署の売上目標を期末までに達成する
- 期末までに、リーダー候補1人が週次の会議を一人で進められるようにする
- 部署の残業時間を、業務の分担を見直して月平均で前期より1割減らす
「部下を育成する」のような目標は、育成した結果、部下が何をできるようになるかで書くと判断しやすくなります。
新人・若手
入社1〜2年目の人は、成果の数字よりも、仕事を一人でこなせるようになることを目標にすると取り組みやすくなります。
- 7月末までに、見積書の作成を先輩の確認なしで一人でできるようにする
- 9月末までに、お客様からの電話の一次対応を、先輩に代わってもらわずにできるようにする
- 期末までに、自分のメモをもとに担当業務の手順書を作り、次の新人が使えるようにする
数字にしにくい仕事の目標(定性目標)の書き方
定性目標とは、売上や件数のような数値ではなく、状態や行動で表す目標のことです。数字にしにくい仕事でも、次の3つのどれかで基準をつくれば、達成を判断できます。
「状態」で書く
目標を達成したとき、職場や自分がどうなっているかを書きます。
- 書き直し前:チームワークを高める
- 書き直し後:期末までに、担当者が休んでも他のメンバーが受注処理を代われる状態にする
「行動」で書く
達成に向けてとる行動を、頻度や回数で書きます。
- 書き直し前:部署内のコミュニケーションを活発にする
- 書き直し後:週1回15分の朝会で各自の困りごとを出し合い、その週のうちに担当を決めて対応する
「成果物」で書く
手順書・資料・仕組みなど、形に残るものを期限つきで書きます。
- 書き直し前:業務の属人化を解消する
- 書き直し後:9月末までに、自分しかできない業務3つの手順書を作り、後任に説明を終える
定性目標は、期初の面談で「どうなっていれば達成か」を上長と言葉で合わせておくことが特に大切です。
よくある失敗の書き直し例
最後に、よくある目標を書き直した例をまとめます。
| よくある書き方 | 何が足りないか | 書き直し例 |
|---|---|---|
| 売上アップに努める | どこまで・いつまでにが無い | 担当する既存顧客からの売上を、期末までに前期比10%伸ばす |
| 報連相を徹底する | 達成の判断ができない | 案件の進み具合を毎週金曜に上長へ報告し、トラブルは当日中に共有する |
| 業務の効率化を図る | 対象と基準が無い | 受発注の入力をテンプレート化し、1件あたりの入力時間を5分短くする |
| 資格の勉強をする | 何のためか・いつまでにが無い | 期末までに○○の資格を取り、来期から見積もり業務を担当できるようにする |
| 部下を育成する | 部下がどうなるかが無い | 入社2年目の2人が、期末までに一人で顧客訪問できるようにする |
書き直すときは、「期末にこの目標を見て、達成したかを判断できるか」と自分に問いかけるのが一番の近道です。
目標を立てた後に大切なこと
目標は、立てた後に見返されて初めて役に立ちます。期初に目標シートを出したまま期末まで見ないと、期中に状況が変わっても目標は古いままになります。
月1回程度の面談で進み具合を確かめ、前提が変わったときは期中でも目標を見直します。期末の振り返りでは、達成したかどうかだけでなく、どんな工夫をしたかも書き残しておくと自己評価に生かせます。書き方は自己評価の書き方と例文で紹介しています。
JOB COMPASSの育成目標では、本人も上長も目標の進捗と状態を更新でき、登録した目標は面談の画面にも表示されるため、期中の対話の材料として使えます。
まとめ
- 良い目標とは、期末に本人と上長が「達成できたか」を同じように判断できる目標です。
- 目標は「何を・どこまで・いつまでに」の3点で書き、達成のための行動計画を添えます。
- 目標の数は3〜5個程度、初めてなら3個までに絞ると運用しやすくなります。
- 数字にしにくい仕事は、「状態」「行動」「成果物」のどれかで達成の基準をつくります。
- 「努める」「徹底する」で終わる目標は、達成した状態を書き足すと測れる目標になります。
目標の良し悪しは、書式の立派さよりも「期中に見返して使えるか」で決まります。今の目標を1つ選び、期末に達成を判断できるかを確かめるだけでも、目標の書き方は変わってきます。
よくある質問
目標はいくつ立てればよいですか?
1人あたり3〜5個程度が目安です。多すぎると一つひとつに力を注げず、期中の面談でも話しきれなくなります。
初めて目標を立てる人や、目標管理を始めたばかりの会社では、3個までに絞ると無理なく続けられます。
目標が達成できそうにないと分かったら、どうすればよいですか?
分かった時点で上長に相談します。事業の状況が変わったなど前提が崩れた場合は、期中でも目標を見直すのが自然です。
期末まで黙っていると、振り返りが「未達でした」で終わってしまいます。早めに相談すれば、やり方を変えるか、目標を変えるかを一緒に決められます。
数字の目標と定性目標は、どちらがよいですか?
どちらかに決める必要はなく、組み合わせるのが一般的です。成果を数字で表せるテーマは数値で、数字にしにくいテーマは状態・行動・成果物で書きます。
大切なのは、どちらの目標も期末に達成を判断できる基準を持っていることです。
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