人事評価システムを選ぶ前に決めること、評価シートの作りやすさ・甘辛の調整・集計・料金の決まり方など7つの比較観点、無料トライアルで確かめることを解説します。コピーして使える比較チェックリスト付きです。
この記事でわかること
- 機能表を見る前に、評価の目的・対象人数・評価の回数・運用する人の4つを決める
- 比べる観点はシートを作る手間・評価軸の自由度・甘辛の調整・集計と結果・面談とのつながり・料金・サポートの7つ
- 無料トライアルでは自社の評価項目で1部署分を作り、入力から集計・調整まで通して確かめる
目次
人事評価システムを選ぶときは、機能の多さで比べるより先に、自社の評価のやり方を決めておくことが大切です。条件が決まっていれば、候補ごとに「自社のやり方で回せるか」を同じ基準で比べられます。
この記事では、導入前に決めておく4つのこと、システムの種類、比べるときの7つの観点、無料トライアルで確かめることを順に解説します。途中に、そのままコピーして使える比較チェックリストも置きました。
人事評価システムを選ぶ前に決めること
最初に決めるのは、評価の目的・対象人数・評価の回数・運用する人の4つです。ここが決まっていないと、どの候補も「機能は足りていそう」に見えて、違いが分からなくなります。
4つとも、紙1枚に書き出せる程度で十分です。比較の途中で迷ったら、この紙に戻って判断します。
評価の目的
人事評価の目的は大きく分けて次の3つです。
- 昇給・賞与・昇格などの処遇を決める
- 社員の成長を支え、次の目標につなげる
- 誰が何をできるかを見える化し、配置に生かす
どれも大切ですが、どれを一番重く見るかで必要な機能が変わります。処遇を重く見るなら集計と調整の正確さ、育成を重く見るなら面談や目標とのつながりを優先して比べます。
目的の考え方は人事評価とはでも整理しています。
対象人数と評価者の数
評価の対象になる人数は料金の見積もりに直結します。今の人数だけでなく、2〜3年後に増えそうな人数も見ておくと、選び直しを避けられます。
評価者の数も大切です。評価者が1〜2人なら甘辛の差は話し合いで調整できますが、人数が増えるほど、分布を比べて調整する仕組みが必要になります。
評価の回数と流れ
評価を年1回にするか、半期ごと・四半期ごとにするかを決めます。回数が多いほど、前の期の設定を引き継げるかどうかで手間が大きく変わります。
評価の流れも決めておきます。
- 上長だけで評価する
- 本人の自己評価と上長評価を組み合わせる
- 自己評価・一次評価・最終評価の多段階で評価する
自社の流れをそのまま設定できるかは、候補を比べるときの大事な条件になります。
運用する人
専任の人事担当がいる会社と、経営者や総務が兼務で回す会社では、選ぶ基準が変わります。兼務の場合は、機能の多さより、設定の手間が少なく迷わず操作できることを重く見ます。
運用する人が1人だけだと、その人が休んだり辞めたりしたときに評価の運用が止まりやすくなります。代わりに操作できる人を最初から決めておくと安心です。
Excelで続けるかシステムに移るかの目安
人事評価は、必ずしも最初からシステムで回す必要はありません。少人数で評価者も少ないうちは、Excelの評価シートで十分に回ることも多くあります。
判断の目安を表にまとめます。
| 判断の目安 | Excelで十分なことが多い | システムを検討したい |
|---|---|---|
| 対象人数 | 10人前後まで | 数十人以上、または増える見込みがある |
| 評価者の数 | 1〜2人 | 部署ごとに上長がいる |
| 評価の流れ | 上長だけで評価する | 自己評価や多段階の評価を挟む |
| 甘辛の調整 | 話し合いで済む | 分布を比べて調整し、理由を残したい |
| 記録の引き継ぎ | 評価者がほとんど変わらない | 異動や上長の交代がある |
右の列に当てはまる行が増えてきたら、システムを比べ始める時期です。
Excel運用で具体的にどんな負担が出るのか、移行するときに何を確認するかは、人事評価をExcelで運用する限界と、システム化で変わる5つのことで詳しく解説しています。
人事評価システムの種類
人事評価システムは扱う範囲によって大きく3つの型に分けられます。どの型が合うかは、最初に決めた評価の目的で決まります。
| 型 | 主に扱う範囲 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| 評価に絞った型 | 評価シートの作成・入力・集計・調整 | 評価の事務を減らし、処遇を決めやすくしたい |
| タレントマネジメント型 | 評価に加えて、スキル・経歴・配置の情報 | 誰が何をできるかを見える化し、育成や配置に生かしたい |
| 人事・労務と一体の型 | 評価に加えて、社員名簿や勤怠などの人事データ | 社員の情報を一か所にまとめて管理したい |
範囲が広い型ほど、できることは増えますが、設定する項目も増えます。兼務で運用する会社では、目的に対して範囲が広すぎないかも見ておきます。
どの型を選んでも、評価項目や基準そのものは自社で決める必要があります。システムは決めた制度を回すための道具です。制度がまだ無い場合は、項目のテンプレートがあるかが選ぶときの手がかりになります。
人事評価システムを比べる7つの観点
候補を比べるときは、次の7つの観点を、どの候補も同じ順番で見ていきます。見るのは機能の一覧表に丸が付いているかどうかではなく、自社のやり方で使えるかどうかです。
1. 評価シートを作る手間
評価制度がまだ固まっていない会社では、評価シートを作る手間が導入の大きな壁になりやすいです。業種や職種に合ったテンプレートから始められるか、ゼロから項目を書く必要があるかを確かめます。
テンプレートがある場合も、項目名や基準の文を自社の言葉に直せるかが大切です。そのまま使うしかないテンプレートは、現場の実態とずれて使われなくなりがちです。
2. 評価項目と評価軸の自由度
評価制度は評価項目・配分・評価の流れ・グレード基準の4つの部品でできています。この4つを自社に合わせて変えられるかを見ます。
- 項目の追加・削除・名前の変更ができるか
- 成果・スキル・姿勢などの配分を自社で決められるか
- 評価の流れ(上長だけ・自己評価あり・多段階)を選べるか
- グレードのしきい値を調整できるか
運用しながら見直せるかも確かめます。最初から完璧な制度を作るのは難しいので、2期目以降に直せることが大切です。部品ごとの決め方は評価制度の作り方で解説しています。
3. 評価者の甘辛の調整
評価者が複数いると、同じ「3」でも人によって意味が変わります。評価の分布を会社で決めた基準と見比べられるか、確定前に評価を調整できるかを確かめます。
調整の結果だけでなく、理由が履歴に残るかも大切です。理由が残っていれば、本人に結果を説明するときや、次の期に基準を見直すときの材料になります。調整会議の進め方はキャリブレーションとはを参考にしてください。
4. 集計と結果の扱い
入力が集まったあと、配分どおりに自動で集計されるか、総合点だけでなく軸ごとの内訳まで見られるかを確かめます。内訳が見えないと、本人に説明するときに別の資料を作ることになります。
結果の扱いについても次の点を確認します。
- 入力の途中の暫定の結果と、確定した結果を見分けられるか
- 確定した結果があとで配分や基準を変えても変わらないか
- 契約を終えたあと、データがどう扱われるか
確定した結果があとから変わってしまうと、過去の評価を本人に説明できなくなります。データの扱いは製品によって違うので、提供元に具体的に確かめておきます。
5. 面談・目標とのつながり
評価は点数を付けて終わりではありません。結果を面談で伝え、次の目標につなげて初めて、育成に役立ちます。
評価結果・面談の記録・目標が同じ人のページにまとまって残るかを確かめます。別々の場所に記録する仕組みだと、前回の話を踏まえた面談がしにくくなります。
6. 料金の決まり方
人事評価システムの料金は、利用する人数に月額を掛けて決まる形がよくあります。月額の単価だけでなく、次の点も確かめます。
- 最低の利用人数や、最低の契約期間があるか
- 初期費用や導入支援の費用がかかるか
- 評価の対象から外した人や退職者が、料金の人数に入るか
- 人数が増えたり減ったりしたとき、料金がどう変わるか
対象人数の見込みと合わせて、1年分の費用で比べると違いが分かりやすくなります。
7. サポートと閲覧の範囲
兼務で運用する会社ほど、困ったときに聞ける窓口があるかが大切です。問い合わせの方法と返信の目安、画面の中に操作の説明があるかを確かめます。
あわせて、誰が誰の評価を見られるかも確認します。管理者・上長・本人のそれぞれが見られる範囲が、自社で決めた公開の範囲と合っているかを見ます。
コピーして使える比較チェックリスト
ここまでの観点を、比較用のチェックリストにまとめました。メモ帳や文書ファイルに貼り付けて、各行の「A:」「B:」に候補ごとの結果を書き込めます。
■ 導入前に決めたこと
□ 評価の目的(処遇/育成/見える化)で一番重く見るもの
□ 必要なシステムの種類(評価に絞った型/タレントマネジメント型/人事・労務と一体の型)
□ 評価の対象人数(今と2〜3年後の見込み)
□ 評価者の人数
□ 評価の回数(年1回/半期/四半期)
□ 評価の流れ(上長だけ/自己評価あり/多段階)
□ 運用する人と、その代わりに操作できる人
■ 1. 評価シートを作る手間
□ 業種・職種に合ったテンプレートから始められるか A: B:
□ 項目名や基準の文を自社の言葉に直せるか A: B:
■ 2. 評価項目と評価軸の自由度
□ 項目の追加・削除・名前の変更ができるか A: B:
□ 評価軸の配分を自社で決められるか A: B:
□ 自社の評価の流れを設定できるか A: B:
□ グレードのしきい値を調整できるか A: B:
□ 前の期の設定を引き継いで次の期を作れるか A: B:
■ 3. 評価者の甘辛の調整
□ 評価の分布を基準と見比べられるか A: B:
□ 確定前に評価を調整できるか A: B:
□ 調整の理由が履歴に残るか A: B:
■ 4. 集計と結果の扱い
□ 配分どおりに自動で集計されるか A: B:
□ 軸ごとの内訳まで見られるか A: B:
□ 暫定の結果と確定した結果を見分けられるか A: B:
□ 確定した結果が、あとの設定変更で変わらないか A: B:
□ 契約終了後のデータの扱い A: B:
■ 5. 面談・目標とのつながり
□ 評価結果・面談の記録・目標が同じ人のページに残るか A: B:
■ 6. 料金の決まり方
□ 1人あたりの月額 A: B:
□ 最低利用人数・最低契約期間 A: B:
□ 初期費用・導入支援の費用 A: B:
□ 評価対象外の人・退職者は料金に入るか A: B:
□ 1年分の費用の見込み A: B:
■ 7. サポートと閲覧の範囲
□ 問い合わせの方法と返信の目安 A: B:
□ 画面の中に操作の説明があるか A: B:
□ 管理者・上長・本人が見られる範囲 A: B:
■ 無料トライアル
□ トライアルの期間と、使える機能の範囲 A: B:
□ 申し込みにクレジットカードが必要か A: B:
□ 終了後に自動で課金されるか A: B:
□ 終了後にデータが残るか A: B:すべての行で丸が付く候補を探す必要はありません。導入前に決めた目的に関わる行を先に見て、そこで差が出る候補に絞り込みます。
無料トライアルで確かめること
資料や説明だけでは、使い勝手は分かりにくいものです。無料トライアルがある候補は、実際に自社のデータで試してから決めます。
トライアルの期間は限られているので、何を確かめるかを先に決めておきます。
自社の評価項目で1部署分を作ってみる
全社分を作り込む必要はありません。1部署分のメンバーと評価項目を登録し、自社の評価シートに近い形が作れるかを確かめます。
テンプレートを使った場合は、自社の言葉に直すのにどれくらい手間がかかるかも見ておきます。
評価者と本人の画面で入力してみる
管理者の画面だけを見て決めると、導入後に評価者や社員が使いにくいと感じることがあります。上長役と本人役のアカウントを用意して、実際に採点や自己評価を入力してみます。
現場の社員がスマートフォンで入力する会社なら、スマートフォンでも試しておきます。
集計と調整まで通してみる
入力を終えたら、集計結果を見て、評価の調整を1件試してみます。調整の理由がどこに残り、あとから誰が見られるかを確かめます。
総合点と軸ごとの内訳を見て、本人にそのまま説明できる形になっているかも確かめます。入力から結果を伝える場面まで、評価の1周分を通して確かめるのが理想です。
トライアル終了後の扱いを確かめる
トライアルの終わりに自動で課金されるか、契約しなかった場合にデータがどうなるかを確認します。申し込みにクレジットカードが必要かどうかも、比べるときの材料になります。
JOB COMPASSでは、業種を選ぶと評価シートの項目が自動で用意され、評価調整の理由も評価結果の履歴に残ります。料金は1名あたり月額550円(税込)で、30日間無料・クレジットカード不要ですべての機能を試せます。
まとめ
人事評価システムは次の順番で選ぶと迷いにくくなります。
- 評価の目的・対象人数・評価の回数・運用する人の4つを先に決める
- Excelで続けるか、システムに移るかを判断の目安で確かめる
- 目的に合うシステムの種類を選ぶ
- 7つの観点を同じ順番で見て、候補を比べる
- 無料トライアルで、自社のデータを使って評価の1周分を通してみる
比べるときに大切なのは、機能の数ではなく、自社の評価のやり方で無理なく回せるかです。チェックリストを使って、目的に関わる観点から確かめてみてください。
よくある質問
少人数の会社でも人事評価システムは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。10人前後で評価者が1〜2人なら、Excelの評価シートで十分に回ることも多くあります。
評価者が増えて甘辛の調整が必要になったときや、異動や上長の交代で記録の引き継ぎが難しくなったときが、検討を始める目安です。
無料のツールやExcelのテンプレートで足りますか?
評価シートを配って集めるだけなら、Excelのテンプレートでも始められます。最初の1期はまずExcelで評価の流れを試してみるのも一つの方法です。
ただ、集計・調整・記録の引き継ぎまで含めると、手作業の負担が増えていきます。有料のシステムでも無料トライアルがあることが多いので、Excelと比べながら試すと判断しやすくなります。
導入にはどのくらいの期間を見ておけばよいですか?
製品によっては、登録したその日のうちに設定を済ませて評価を始められます。時間がかかりやすいのは、評価項目や評価の流れなど、制度の側を決める作業です。
次の評価期間が始まる日から逆算して、候補の比較とトライアル、社内への説明の時間を取っておくと、新しい期から無理なく切り替えられます。
FEATURES