人事評価の年間スケジュールの組み方を、評価の時期とサイクル、目標設定から面談・処遇反映までの工程ごとの所要期間、半期評価の年間例で解説。締切が遅れる原因と防ぎ方、少人数の会社での組み方も紹介します。
この記事でわかること
- スケジュールは処遇に反映する時期から逆算し、評価期間の終了後1〜2か月で面談まで終える
- 1サイクルは目標設定・期中フォロー・自己評価・上長評価・調整・面談の6工程
- 遅れの多くは評価者への負担の集中と締切のあいまいさが原因で、年度の初めに日程を決めれば防ぎやすい
目次
人事評価の年間スケジュールは評価結果を昇給・賞与に反映する時期から逆算して組みます。評価期間が終わってから1〜2か月のうちに、自己評価・上長評価・調整・面談までを終えるのが一般的な形です。
遅れを防ぐには、年度の初めに各工程の締切を決めて全員に共有しておくことが欠かせません。
この記事では評価の時期とサイクルの決め方、工程ごとの所要期間、半期評価の年間スケジュール例、遅れを防ぐ工夫を紹介します。
人事評価のスケジュールを決める前に
スケジュールを組む前に、「いつからいつまでの働きを評価するか」と「いつ評価の作業をするか」を分けて考えます。この2つを混同すると、工程の締切があいまいになります。
評価対象期間と評価の実施時期
評価対象期間は評価の対象になる働きの期間です。たとえば「4月1日〜9月30日の上期」のように決めます。
評価の実施時期は自己評価や上長評価を書き、面談をする時期です。対象期間が終わった直後の1〜2か月に置きます。
上期の働きを10月に評価し、11月に面談する、という組み方が典型です。
年1回・年2回・四半期のサイクル
評価のサイクルには主に次の3つがあります。
| サイクル | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| 年1回 | 業務の成果が出るまで時間がかかる会社、評価の工数をかけられない会社 | 期の初めの出来事を思い出しにくく、直近の印象で評価が決まりやすい |
| 年2回(半期) | 夏・冬の賞与に評価を反映したい会社。多くの会社が採る形 | 年2回、評価の作業が集中する |
| 四半期 | 目標の変化が早い会社、短い周期で振り返りたい会社 | 毎回の評価を軽くしないと、評価者の負担が大きくなる |
迷ったら、年2回の半期評価から始めるのが無難です。昇給の判断は年1回にまとめ、上期・下期の2回の評価結果を合わせて使う会社もあります。
処遇に反映する時期から逆算する
スケジュールの起点は評価結果を使う時期です。賞与の支給月や昇給の時期が決まっていれば、そこから必要な準備期間をさかのぼって各工程の締切を置きます。
たとえば12月に賞与を支給し、支給額を11月中旬に決めるなら、それまでに評価が確定している必要があります。そこから逆算すると、上長評価は10月下旬、自己評価は10月上旬〜中旬が締切の目安になります。
人事評価の1サイクルの流れと所要期間
人事評価の1サイクルは次の6つの工程で進みます。所要期間は社員数30〜100人ほどの会社での目安です。
| 工程 | 時期 | 所要期間の目安 | 主に担う人 |
|---|---|---|---|
| 1. 目標設定 | 期の初め | 2〜3週間 | 本人・上長 |
| 2. 期中フォロー | 期の途中 | 月1回の面談など | 本人・上長 |
| 3. 自己評価 | 期の終了後 | 1〜2週間 | 本人 |
| 4. 上長評価 | 自己評価の後 | 1〜2週間 | 上長 |
| 5. 評価の調整・確定 | 上長評価の後 | 1〜2週間 | 評価者・経営者 |
| 6. フィードバック面談 | 確定の後 | 2週間ほど | 上長・本人 |
ここからは工程ごとのポイントを紹介します。
1. 目標設定
期の初めに、本人が目標の案を書き、上長との面談ですり合わせて確定します。
本人が案を書くのに1週間、面談と修正に1〜2週間を見込みます。期が始まって1か月以上たってから目標が決まると、残りの期間で成果を出しにくくなります。
目標の書き方は目標設定の書き方と例文で紹介しています。
2. 期中フォロー
期の途中では、目標の進み具合を確かめ、必要なら目標を見直します。月1回の1on1や、期の中間での面談がこの工程にあたります。
期中のフォローを省くと、期末になって「目標が実態に合っていなかった」と分かることがあります。評価の材料になる事実を記録しておく時期でもあります。
3. 自己評価
対象期間が終わったら、本人が自己評価を書きます。締切は対象期間の終了日から1〜2週間後に置きます。
期間の終了前から書き始めてもらってもかまいません。書き方は自己評価の書き方と例文で紹介しています。
4. 上長評価
上長は本人の自己評価を読んだうえで評価をつけ、根拠となるコメントを書きます。
部下の多い上長ほど時間がかかります。部下1人あたりの作業時間を見積もり、部下の人数に合わせて期間を決めます。
5. 評価の調整・確定
評価者が複数いる場合は、評価者ごとの甘辛をそろえる調整を行い、最終評価者や経営者が評価を確定します。
調整の会議は評価者の予定がそろう日を早めに押さえておきます。進め方はキャリブレーションとは?で詳しく紹介しています。
6. フィードバック面談
確定した評価を、上長が面談で本人に伝えます。結果と根拠、次の期に期待することを話し、そのまま次の期の目標設定につなげます。
面談は評価の確定から2週間以内に終えるのが目安です。間があくと、本人が自分の働きを振り返りにくくなります。伝え方は評価フィードバックの伝え方で紹介しています。
人事評価の年間スケジュール例
ここでは、3月決算の会社が年2回の半期評価を行い、6月と12月に賞与、4月に昇給を行う場合の例を紹介します。
上期(4月〜9月)の評価
| 月 | 行うこと |
|---|---|
| 4月上旬〜中旬 | 上期の目標設定(本人が案を書き、上長と面談) |
| 5月〜8月 | 期中フォロー(月1回の1on1、7月に中間面談) |
| 10月上旬 | 自己評価(締切は10月10日ごろ) |
| 10月中旬〜下旬 | 上長評価(締切は10月25日ごろ) |
| 11月上旬 | 評価の調整・確定 |
| 11月中旬〜下旬 | フィードバック面談、下期の目標の見直し |
| 12月 | 冬の賞与に上期の評価を反映 |
下期(10月〜3月)の評価
| 月 | 行うこと |
|---|---|
| 10月 | 下期の目標設定(上期の評価と並行して進める) |
| 11月〜2月 | 期中フォロー(1月に中間面談) |
| 4月上旬 | 自己評価 |
| 4月中旬〜下旬 | 上長評価 |
| 5月上旬 | 評価の調整・確定 |
| 5月中旬〜下旬 | フィードバック面談、上期の目標の見直し |
| 6月 | 夏の賞与に下期の評価を反映 |
この例で4月に昇給を行おうとすると、その時点では下期の評価がまだ確定していません。昇給を上期の評価だけで決めるか、下期の評価を前倒しするか、昇給の時期を評価の確定後にずらすかを決めておく必要があります。
このように、評価の確定時期と処遇の時期が合っているかを、年間の表にして最初に確かめておきます。
10月と4月の作業の重なり
半期評価では、前の期の評価と次の期の目標設定が同じ時期に重なります。上の例では10月と4月がその時期です。
この時期は上長の負担が集中します。上の例のように、フィードバック面談で次の期の目標の見直しもまとめて話せば、面談の回数を減らせます。
スケジュールが遅れる原因
評価のスケジュールが遅れる原因は、個人の怠慢より、仕組みの側にあることが少なくありません。よくある原因は次のとおりです。
- 締切が決まっていない、または直前まで知らされない
- 部下の多い上長に評価の作業が集中している
- 繁忙期と評価の時期が重なっている
- 評価シートの配布と回収に手間がかかり、誰が未提出か分からない
- 前の工程が遅れても、後ろの工程の締切がそのままになっている
とくに最後の点は見落とされがちです。自己評価の提出が遅れると、上長評価に使える時間が短くなり、調整や面談の時期まで後ろにずれます。
評価が遅れて面談の時期がずれると、本人は自分の評価がいつ決まるのか分からず不安になります。評価への不満にもつながります。不満が生まれる原因と対策は人事評価に不満が出る原因で紹介しています。
遅れを防ぐスケジュールの組み方
遅れは年度の初めに日程を決めて共有し、工程ごとの進み具合を確かめられるようにすれば多くを防げます。
年度の初めに1年分の日程を決めて共有する
年度が始まる前に、上期・下期の各工程の締切を決め、社内カレンダーや評価の案内に載せておきます。
評価のたびに日程を決めていると、案内が直前になり、上長が予定を空けにくくなります。1年分を先に決めておけば、上長は繁忙期を避けて評価の作業を計画できます。
締切の示し方と見直し
「10月中旬まで」ではなく「10月10日まで」のように日付で示します。あいまいな締切は守られにくくなります。
前の工程が大幅に遅れたら、後ろの工程の締切も見直して改めて案内します。遅れたまま後ろの締切を据え置くと、上長評価や面談が駆け足になり、評価の質が下がります。
繁忙期を避ける工夫
決算などの繁忙期と評価の時期が重なる部署は、その部署だけ締切をずらすか、作業を前倒しできるようにします。
たとえば自己評価は対象期間の終了前から書き始めてよいことにすると、締切の直前に作業が集中しにくくなります。期中に記録した事実があれば、自己評価も上長評価も短い時間で書けます。
提出状況の確認と声かけ
締切の数日前に、各工程で提出し終えた人数と、まだ提出していない人を確かめます。全体の何割が終わっているかが分かれば、締切の延長や個別の声かけを早めに判断できます。
紙やExcelで評価を集めていると、未提出の人を確かめるだけで手間がかかります。JOB COMPASSの進捗・催促では、自己評価と上長評価のステップごとに提出し終えた人数の割合が表示され、未提出のメンバーを選んで催促メールをまとめて送れます。
評価者の負担をならす
部下が多い上長には、評価の期間を長めにとるか、一次評価を分担する人(係長やリーダーなど)を置きます。
評価項目が多すぎると、上長の作業時間はその分だけ増えます。毎回の評価で時間がかかりすぎている場合は、項目数を見直すことも検討します。
少人数の会社でのスケジュールの組み方
社員が10〜20人ほどで経営者が評価する会社では、工程を簡単にして、短い期間で回すほうが続けやすくなります。
工程をまとめて短くする
評価者が経営者1人なら、評価の調整の工程は省けます。自己評価と上長評価をそれぞれ1週間、面談を1〜2週間とし、評価期間が終わってから1か月以内に面談まで終える組み方が現実的です。
次の期の目標設定もフィードバック面談の中で一緒に行えば、面談の回数を減らせます。
年1回から始める方法
評価の制度が初めての会社なら、年1回の評価から始めて、運用に慣れてから半期に増やす方法もあります。
その場合も、期の途中で1〜2回は面談をして、目標の進み具合を確かめます。年1回の評価だけでは、期の初めの働きを思い出しにくく、直近の出来事で評価が決まりやすくなるためです。
評価の制度がまだ無い会社での始め方は人事評価とは?で紹介しています。
まとめ
- 人事評価のスケジュールは評価結果を昇給・賞与に反映する時期から逆算して組みます。
- 1サイクルは目標設定・期中フォロー・自己評価・上長評価・評価の調整と確定・フィードバック面談の6工程です。
- 評価期間が終わってから1〜2か月のうちに面談まで終えるのが目安です。
- 半期評価では、前の期の評価と次の期の目標設定が重なるため、面談をまとめるなどして上長の負担をならします。
- 遅れを防ぐには、年度の初めに1年分の締切を日付で決めて共有し、提出状況を人数で確かめて早めに声をかけます。
最初は次の評価期間の各工程の締切を日付で書き出し、処遇に反映する時期に間に合うかを確かめるところから始められます。
よくある質問
人事評価は何月に行うのが一般的ですか?
決まった月はなく、会社の決算期と、賞与の支給や昇給の時期に合わせて決めます。3月決算で年2回の評価なら、上期の評価を10〜11月、下期の評価を4〜5月に行う形がよく見られます。
まずは評価結果を使う時期を決め、そこから逆算して評価の作業の時期を置くと組みやすくなります。
評価は年1回と年2回のどちらがよいですか?
賞与に評価を反映するなら、支給の回数に合わせて年2回にするのが一般的です。年1回は工数が少なく済みますが、1年前のことを思い出しにくく、直近の印象で評価が決まりやすくなります。
年1回にする場合も、期の途中で面談をして目標の進み具合を確かめておくと、評価の材料がそろいます。四半期ごとの評価を選ぶ会社もありますが、その場合は毎回の評価を軽くして負担を抑えます。
締切までに自己評価を出さない社員がいたらどうすればよいですか?
まず個別に声をかけ、提出できていない理由を確かめます。忙しくて書けていないだけなら、締切を少し延ばし、上長評価以降の日程も合わせて見直します。
自己評価が出ないまま上長評価に進むと、本人の振り返りを知らないまま評価することになり、面談で納得を得にくくなります。毎回遅れる人には、書き方が分からないなどの事情がないかを上長が確かめ、次の期からは締切の数日前に声をかけるようにします。
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