COLUMN 人事評価の基礎

情意評価とは?評価項目の例と、主観に偏らせないポイント

読了 約11分

情意評価の意味と、規律性・責任性・協調性・積極性の4つの項目を解説。行動で書いた評価項目とレベル定義の例、勤怠との違い、評価者の印象に偏らせないための工夫を紹介します。

この記事でわかること

  • 情意評価は、仕事に向かう姿勢や態度を評価するもので、規律性・責任性・協調性・積極性の4つが代表的な項目
  • 「やる気がある」のような印象ではなく、期間中に見られた行動で評価する
  • 遅刻・欠勤などの勤怠データとは分けて扱い、同じ事実を二重に評価しない
目次
  1. 01情意評価とは
  2. 02情意評価のメリット
  3. 03情意評価のデメリットと、よくある失敗
  4. 04主観に偏らせない情意評価の作り方
  5. 05情意評価の評価項目とレベル定義の例
  6. 06情意評価と勤怠の扱い
  7. 07まとめ
  8. 08よくある質問

情意評価とは、仕事に向かう姿勢や態度を評価するものです。代表的な項目は、規律性・責任性・協調性・積極性の4つです。

ただし、言葉だけの項目では評価者の印象に左右されやすくなります。評価項目とレベル定義を期間中に見られる「行動」で書くことが、情意評価を公平にするための基本です。

この記事では、情意評価の意味とほかの評価との違い、メリット・デメリット、行動で書いた評価項目の例、勤怠との分け方、主観に偏らせないためのポイントを紹介します。

情意評価とは

情意評価とは、仕事に取り組む姿勢・態度・意欲を評価の対象にするものです。「勤務態度評価」「態度評価」と呼ぶ会社もあります。

日本の人事評価(人事考課)では、昔から「成績(業績)」「能力」「情意」の3つを評価の柱にする考え方が広く使われてきました。情意評価はそのうちの1つで、成果や能力の土台となる働き方を見る評価です。

情意評価の代表的な4項目

情意評価の項目として、よく使われるのは次の4つです。

  • 規律性:会社のルールや約束ごとを守り、職場の秩序を保っているか
  • 責任性:任された仕事を最後までやり遂げ、結果に責任を持っているか
  • 協調性:周囲と協力し、チームとして成果を出すために動いているか
  • 積極性:改善や新しい仕事に、自分から取り組んでいるか

会社によっては、「顧客志向」「コスト意識」「安全意識」などを加えることもあります。どの項目を選ぶかは、会社が大切にしたい働き方によって決めます。

成果評価・能力評価・コンピテンシー評価との違い

情意評価は、ほかの評価の型と組み合わせて使うのが一般的です。それぞれが何を見るかを比べると、違いがはっきりします。

評価の型何を見るか問いの形
成果評価(業績評価)期間中に出した成果・目標の達成度何を達成したか
能力評価知識・スキル・資格など、持っている力何ができるか
情意評価仕事に向かう姿勢・態度どう取り組んだか
コンピテンシー評価成果を出す人に共通する行動成果につながる行動をしたか

情意評価とコンピテンシー評価は、どちらも行動を見る点で近い関係にあります。

情意評価は、職種を問わず共通する「働く姿勢」を見ます。コンピテンシー評価は、職種や役割ごとに「成果を出すための行動」を定めて、その行動をとれているかを見ます。コンピテンシー評価の考え方はコンピテンシー評価とは?で詳しく解説しています。

情意評価のメリット

情意評価には、成果や能力の評価だけでは拾えない部分を評価できるという強みがあります。

結果に表れにくい貢献を評価できる

成果評価だけでは、目立つ数字を出した人ばかりが評価されがちです。

一方で、組織は次のような数字に表れにくい行動にも支えられています。

  • 後輩の相談に乗る
  • ミスが起きないように手順を整える
  • 決まりを守り、取引先や同僚からの信頼を保つ

情意評価があると、こうした貢献も評価の対象にできます。

会社が大切にしたい働き方を伝えられる

情意評価の項目は、「この会社ではこういう働き方を大切にしている」というメッセージになります。

特に入社して間もない社員や若手にとっては、どう働けば評価されるかを知る手がかりになります。

成果が出るまで時間がかかる人も評価できる

新入社員や異動したばかりの社員は、すぐには成果を出しにくいものです。

情意評価があれば、仕事への取り組み方を評価し、成長の途中にある人の努力を認めることができます。

情意評価のデメリットと、よくある失敗

一方で、情意評価は運用を誤ると、不満の原因になりやすい評価でもあります。

評価者の印象や好き嫌いに左右されやすい

「協調性」「積極性」のような言葉は、評価者によって思い浮かべる行動が違います。

基準があいまいなまま評価すると、評価者の印象や相性が点数にそのまま出ます。ある評価者は「よく話す人」を積極的と見て、別の評価者は「黙々と改善を進める人」を積極的と見る、といったずれが起きます。

目立つ出来事に引きずられる

半年や1年の評価期間のうち、評価者が覚えているのは直近の出来事や印象の強い出来事になりがちです。

半年間まじめに働いていたのに、期末直前の1回の遅刻で規律性を低く評価される、といったことが起こります。こうした評価のゆがみは評価者エラーとは?で詳しく紹介しています。

「性格」を評価してしまう

「明るい」「おとなしい」「やる気がない」のように、性格や内面を評価してしまうのもよくある失敗です。

性格は本人が変えにくく、評価されても次に何をすればよいかが分かりません。情意評価で見るのは、あくまで仕事の場で表れた行動です。

全員が「普通」に集まる

基準があいまいだと、評価者は判断に迷って真ん中の点数をつけがちです。

全員が「3」になると、誰がどう頑張ったのかが評価に表れません。本人も、評価から次に何をすればよいかを読み取れなくなります。

主観に偏らせない情意評価の作り方

情意評価を公平にするには、評価項目と基準の書き方、期間中の記録の取り方、総合評価での重みの3点を見直します。

項目は「行動」で書く

情意評価の項目は、言葉だけで終わらせず、「何をしていればよいか」を行動の形で書きます。

  • 悪い例:協調性がある
  • よい例:自分の担当外でも、チームの仕事が遅れているときは手伝いを申し出ている

行動で書かれていれば、評価者は期間中に見た事実と照らし合わせて判断できます。本人にも「この場面でこう動いていたので、この評価」と根拠を伝えられます。

レベルごとの状態を文章で書く

点数ごとに、どういう状態かを文章で定義します。

すべての段階を細かく書くのが難しければ、まず「期待どおり」の状態を書き、そこから一段上と一段下を書きます。この順番で作ると、全体をそろえやすくなります。

等級や役割で期待の水準を変える

同じ項目でも、新入社員と管理職では期待する行動が違います。

たとえば責任性なら、若手には「任された仕事を期限までに終える」、リーダーには「チームの仕事が期限までに終わるよう段取りする」を期待する、といった形です。等級ごとの期待の書き方は等級制度とは?で紹介しています。

期間中に事実を記録しておく

情意評価は、期末に思い出して評価するほど印象に左右されます。

上長は、気づいた行動を日付と一緒に短くメモしておきます。1on1や面談の記録を残しておけば、それ自体が評価の根拠になります。

ウェイトは控えめにする

情意評価は、成果評価に比べて客観的な根拠を集めにくい評価です。

総合評価に占める割合を成果や能力の評価より控えめにしておくと、評価者の印象が総合評価を大きく動かさずに済みます。また、若手ほど情意の比重を高め、等級が上がるほど成果の比重を高める考え方も広く知られています。

情意評価の評価項目とレベル定義の例

ここでは、代表的な4項目について、行動で書いた評価項目とレベル定義の例を紹介します。5段階のうち、3(期待どおり)・4(期待を上回る)・2(期待を下回る)の3段階を載せています。

規律性

評価項目:会社のルールや約束ごとを守り、周囲が安心して仕事を任せられる状態を保っている

レベル状態の例
4ルールを守るだけでなく、守りにくいルールや手順の問題に気づき、改善を提案している
3社内ルール・顧客との約束・提出期限を守っている。守れないときは事前に上長へ相談している
2提出期限の遅れや手順の省略があり、上長から指摘を受けることがある

責任性

評価項目:任された仕事を最後までやり遂げ、問題が起きたときは自分から対応している

レベル状態の例
4自分の担当でなくても、問題に気づいたら関係者に共有し、解決まで追いかけている
3任された仕事を期限までに終えている。ミスがあったときは自分から報告し、直している
2仕事が途中で止まったり、問題を報告せずにそのままにしたりすることがある

協調性

評価項目:周囲と情報を共有し、チームとして成果を出すために動いている

レベル状態の例
4チームの仕事の偏りに気づき、手伝いや分担の見直しを自分から提案している
3自分の仕事の進み具合や気づいたことを、必要な相手に共有している。頼まれた手伝いに応じている
2情報を自分だけで抱え、周囲が仕事を進めにくくなることがある

積極性

評価項目:担当業務の改善や、新しい仕事に自分から取り組んでいる

レベル状態の例
4改善案を出すだけでなく実行し、周囲も使える形にしている
3担当業務のやり方を見直し、改善案を上長やチームに出している
2指示された範囲の仕事にとどまり、改善や新しい仕事には手を挙げない

表の文言は一例です。自社の仕事の場面に置き換え、「うちの職場ならこういう行動」と具体的にすると、評価者も本人も判断しやすくなります。

経営理念や行動指針から項目を作る方法

4つの項目をそのまま使うのではなく、経営理念や行動指針から情意評価の項目を作る方法もあります。

たとえば行動指針に「お客様の期待を超える」とあれば、「顧客の要望を聞き取り、頼まれた以上の提案をしている」のような項目にできます。会社らしさが評価項目に表れ、理念を日々の行動に結びつけやすくなります。

情意評価と勤怠の扱い

遅刻・欠勤・早退などの勤怠を、情意評価にどう反映するかは迷いやすい点です。

勤怠データと情意評価は分けて扱う

勤怠は、記録で確かめられる客観的な事実です。一方、情意評価は上長が行動を見て判断するものです。

この2つを混ぜると、「遅刻が多いので規律性も低い」と同じ事実を二重に評価することになります。勤怠を評価に反映するなら、情意評価とは別の項目として独立させ、点数のつけ方を事前に決めておくと分かりやすくなります。

事情のある休みは減点しない

年次有給休暇の取得や、育児休業・介護休業などの制度を使った休みは、情意評価の減点理由にしません。これらを理由に不利益な扱いをすることは、法律で禁止または制限されています。

病気やけがによる休みも含め、休んだ日数ではなく、休む前の連絡や引き継ぎといった「仕事を止めないための行動」を見るようにすると、事情のある人を不利にせずに済みます。法令に関わる判断が必要な場合は、社会保険労務士などの専門家に確認すると安心です。

JOB COMPASSの評価軸・評価スタイルでは、業務評価・スキル・マインドセットに勤務態度・資格を加えた5つの評価軸を、配分%で組み合わせられます。行動指針の実践度はマインドセット、提案数などの目標に対する達成度は勤務態度と軸を分けて配分を決められるので、同じ事実を二重に評価しない設計にしやすくなります。

まとめ

  • 情意評価は、仕事に向かう姿勢や態度を評価するもので、規律性・責任性・協調性・積極性の4つが代表的な項目です。
  • 成果に表れにくい貢献や、会社が大切にしたい働き方を評価に組み込めるのが強みです。
  • 一方で、言葉だけの項目では評価者の印象や好き嫌いに左右されやすくなります。
  • 項目とレベル定義を「行動」で書き、期間中に事実を記録しておくと、主観に偏りにくくなります。
  • 勤怠データとは分けて扱い、同じ事実を二重に評価しないようにします。

まずは今ある「協調性」「積極性」などの項目に、「期待どおり」の状態を行動で1文書き足すところから始められます。

よくある質問

情意評価は廃止したほうがよいのでしょうか?

一律に廃止する必要はありません。情意評価が主観的だと言われる大きな原因は、項目が言葉だけで書かれ、行動の基準が無いことにあります。

項目を行動で書き直し、ウェイトを控えめにすれば、成果だけでは見えない貢献を評価する手段として役立ちます。コンピテンシー評価や行動指針の評価に置き換える会社もあります。

情意評価の項目はいくつくらいが適切ですか?

代表的な4項目(規律性・責任性・協調性・積極性)から始め、会社として特に大切にしたい項目を1〜2つ加える程度が扱いやすい量です。

項目が多すぎると、評価者が1つずつ根拠を思い出せなくなり、点数が真ん中に集まりやすくなります。

情意評価の結果は本人にどう伝えればよいですか?

点数だけでなく、評価の根拠になった具体的な行動を添えて伝えます。「協調性が足りない」ではなく、「この場面で情報を共有してもらえると、チームが動きやすくなる」のように、次にとってほしい行動まで伝えると受け止めてもらいやすくなります。

伝え方の型は人事評価コメントの書き方と例文で紹介しています。

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