1on1で使える質問例を、コンディション・業務・成長・キャリア・職場の関係の目的別に紹介。よい質問の条件、新人や評価面談の前後など場面別の聞き方、話が続かないときの対処と避けたい質問も解説します。
この記事でわかること
- 1on1の質問は「何について話す回か」を決めてから選ぶと、話が散らばらない
- 「はい・いいえ」で終わらない開いた質問を1つずつ聞き、答えの言葉を拾って掘り下げる
- 話が続かないときは、前回決めたことや本人の振り返りなど、話す材料から入る
目次
1on1の質問はその回で何について話すかを先に決めてから選ぶと、話が散らばりません。聞くときは「はい・いいえ」で終わらない質問を1つずつ聞き、本人の答えに出てきた言葉を拾って掘り下げます。
この記事ではよい質問の条件を整理したうえで、コンディション・業務・成長・キャリア・職場の関係という目的別の質問例を紹介します。
新人との1on1や評価面談の前後など場面別の聞き方、話が続かないときの対処、避けたい質問も取り上げます。1on1そのものの進め方は1on1面談とは?で解説しています。
1on1で質問が大切な理由
1on1は部下が主役になって話す時間です。上司が話す時間が長くなると、業務の指示や報告の場に変わってしまいます。
部下に話してもらうために、上司が最も工夫できるのが質問です。何を聞くかで、部下が何について考え、どこまで話すかが変わります。
質問は「部下が考えるきっかけ」になる
よい質問は部下が自分の仕事や考えを言葉にするきっかけになります。言葉にする中で、本人が自分で課題に気づいたり、次にやることを決めたりできます。
上司が答えを先に言ってしまうと、本人が自分で考える機会がなくなります。1on1では助言よりも先に質問をするのが基本です。
よい質問の4つの条件
1on1で話が広がる質問には、次の4つの条件が共通しています。質問を用意するときは、この4つを確かめます。
1. 「はい・いいえ」で終わらない
「順調ですか?」と聞くと、「はい」の一言で話が終わりがちです。「今いちばん時間を使っている仕事は何ですか?」のように、文章で答える質問にします。
「はい・いいえ」で答えられる質問を閉じた質問(クローズドクエスチョン)、文章で答える質問を開いた質問(オープンクエスチョン)と呼びます。閉じた質問は事実の確認に、開いた質問は考えや気持ちを聞くときに向いています。
「〜はありますか?」と閉じた形で聞いて「はい」と返ってきたら、「それはどんなことですか?」と開いた質問で続けます。
2. 一度に1つだけ聞く
「最近どう?困っていることはある?来月の予定は?」とまとめて聞くと、部下は最後の質問にしか答えられません。質問は1つずつにして、答えを聞き終えてから次へ進みます。
3. 「なぜ」より「何が」「どうすれば」で聞く
「なぜできなかったの?」は聞き方によっては責められていると受け取られます。原因を聞きたいときは「何が進めにくくしていましたか?」と、人ではなく状況に目を向ける聞き方に変えます。
先のことを聞くときは「どうすれば進められそうですか?」と聞くと、本人が進め方を考えやすくなります。
4. 答えに出てきた言葉を拾う
用意した質問を順番に読み上げるだけでは、尋問のようになります。部下が「最近ちょっとバタバタしていて」と言ったら、「バタバタというと、どんなことが重なっていますか?」と、その言葉を使って聞き返します。
自分の言葉を拾ってもらえると、部下は「聞いてもらえている」と感じ、話を続けやすくなります。
話が続かない1on1によくあるパターン
質問の用意があっても、1on1が数分で終わってしまうことがあります。よくあるのは次のような状態です。
- 毎回同じ漠然とした「最近どう?」から始まるので、答えも「特に変わりないです」になりがちです
- 何について話す回かが決まっておらず、業務の話、キャリアの話、雑談が行き来して、どれも浅く終わります
- 進捗の遅ればかりを聞かれて上司の質問が評価や詰問に聞こえると、部下は当たり障りのない答えを選びます
- 前回の話が引き継がれず毎回ゼロから話すので、深い話に入る前に時間が終わります
こうした状態の多くは部下のやる気や話す力の問題というより、質問の選び方と話す材料の準備で変えられるものです。
目的別の1on1の質問例
ここからは1on1で話すテーマごとに質問例を紹介します。毎回すべてのテーマを扱う必要はありません。
その回で話すテーマを1〜2つ選び、そこから2〜3問を使うくらいが目安です。
コンディションを知る質問
最初の数分は部下の今の状態を知る質問から始めると、話しやすい雰囲気ができます。
- 今週の調子を10点満点でつけると、何点くらいですか?
- この1か月で、いちばん忙しかったのはどの時期でしたか?
- 仕事のあとや休日は、どんなふうに過ごせていますか?
- 今、気になっていることや頭から離れないことはありますか?
点数で聞くと、前回との変化が分かりやすくなります。点数が下がっていたら、「前回から何が変わりましたか?」と理由を聞きます。
体調は本人が話せる範囲で聞きます。病名や通院の様子など、詳しい健康情報を上司から尋ねる必要はありません。
業務の進み具合を確かめる質問
業務の質問は進捗の報告を求めるのではなく、進めにくさを見つけるために使います。
- 今いちばん時間を使っている仕事は何ですか?
- 予定より遅れ気味の仕事があるとしたら、どれですか?
- 進めにくくしている原因があるとしたら、何だと思いますか?
- 私が手伝えること、ほかの人に頼みたいことはありますか?
- この1か月で、うまくいったと思う仕事は何ですか?
うまくいった仕事も聞くと、反省会になりにくくなります。うまくいった理由を聞くと、本人が自分の強みに気づくきっかけにもなります。
成長・スキルを考える質問
成長の質問は本人がどんな力を伸ばしたいかを言葉にしてもらうためのものです。
- 最近、新しくできるようになったことはありますか?
- 今の仕事で、もっと上手になりたいことは何ですか?
- 半年後に、どんな仕事を任されていたいですか?
- そのために、次の1か月で試せそうなことは何ですか?
- 社内で、仕事の進め方を参考にしたいと思う人は誰ですか?
最後は「次に何をやってみるか」まで話せると、成長の話が次の行動につながります。決めたことは次の1on1の最初の話題にします。
キャリアを話す質問
キャリアの話は毎回する必要はありません。数か月に1回ほど、前もって「次回はこれからの話をしたい」と伝えておくと、本人も考えてから臨めます。
- この仕事を選んだとき、何にひかれましたか?
- 3年後にどんな働き方をしていたいですか?
- 今の仕事の中で、これからも続けたいことは何ですか?
- 部下をまとめる管理職と、専門性を深める専門職では、どちらの道に関心がありますか?
- 挑戦してみたい仕事や、関わってみたい部署はありますか?
社内のキャリアパスを示している会社なら、表を一緒に見ながら「次の段階の条件のうち、どれから取り組みたいですか?」と聞く方法もあります。キャリアパスの作り方はキャリアパスとは?で紹介しています。
職場の関係・環境を知る質問
チームの中での働きやすさは部下の側からは言い出しにくいテーマです。上司から聞く機会をつくります。
- チームの中で、相談しやすい人は誰ですか?
- 最近、誰かに助けられたと感じた場面はありますか?
- 仕事を進めるうえで、やりにくいと感じているルールや手順はありますか?
- チームの会議や連絡のしかたで、変えたほうがよいと思うことはありますか?
特定の人との関係の悩みが出てきたら、その場で解決策を出そうとせず、まず事実と本人の受け止めを分けて聞きます。
上司へのフィードバックを求める質問
1on1は、上司が自分の関わり方を見直す機会にもなります。
- 私の指示や説明で、分かりにくかったことはありますか?
- もっと任せてほしいこと、逆にもっと相談に乗ってほしいことはありますか?
- この1on1の進め方で、変えたほうがよいところはありますか?
すぐに本音が出なくても構いません。部下の答えを受けて上司が実際に関わり方を変えると、次からは話してもらいやすくなります。
場面別の1on1の質問例
同じ質問でも、相手の状況によって合う・合わないがあります。よくある4つの場面での聞き方を紹介します。
初めての1on1
初回は1on1の目的と進め方を説明してから、本人のことを知る質問をします。
- これまでの仕事で、やりがいを感じたのはどんなときでしたか?
- 仕事を進めるうえで、大事にしていることは何ですか?
- 上司にどんな関わり方をしてもらえると、仕事がしやすいですか?
新入社員・入社間もない人との1on1
入社して間もない時期は、困っていても「何が分からないか」を言葉にしにくいものです。答えやすい具体的な質問から始めます。
- 今週、いちばん戸惑ったことは何でしたか?
- 聞きたかったけれど、聞けなかったことはありますか?
- 仕事の中で、少し慣れてきたと感じることはありますか?
評価面談の前後の1on1
評価面談の前は本人の自己評価と上司の見方のずれを小さくするために、期間中の仕事を一緒に振り返ります。
- この期間で、いちばん手応えのあった仕事は何ですか?
- 目標のうち、思うように進まなかったのはどれですか?
- その目標の進み具合には、何が影響していましたか?
評価面談のあとは評価をどう受け止めたかを聞き、次の期に向けた話につなげます。
- 評価面談で伝えた内容を、今どのように受け止めていますか?
- 納得しにくかったところがあれば、どこか教えてもらえますか?
- 次の期に、特に力を入れたいことは何ですか?
評価結果の伝え方は評価フィードバックの伝え方で解説しています。
元気がない・様子が気になるとき
いつもと様子が違うときは、原因を問いただすのではなく気づいたことを伝えてから聞きます。
- 最近、少し疲れているように見えたのですが、どうですか?
- 何か手伝えることや、仕事の量で調整できることはありますか?
本人が話したくない様子なら、無理に聞き出しません。「いつでも声をかけてください」と伝えておきます。
心身の不調がうかがえるときは、上司だけで抱えず、社内の相談窓口や産業医につなぎます。産業医がいない会社では、地域産業保健センターなどの外部の相談先も利用できます。
話が続かないときの対処
質問を工夫しても、話が続かない日はあります。そのときに使える対処を紹介します。
前回決めたことから入る
「前回、〇〇をやってみると話していましたが、その後どうでしたか?」と聞くと、毎回ゼロから話す必要がなくなります。前回の記録を面談の前に読み返しておくことが前提になります。
本人の振り返りや目標を材料にする
月次の振り返りの回答や、本人が立てている目標を手元に用意しておくと、質問のきっかけが増えます。「振り返りで、この項目の点数が先月より下がっていましたね」のように、本人が書いたものから話を始めます。
JOB COMPASSの面談では、上長と本人がそれぞれ話したいことを共有メモに事前に書いておけます。面談中は過去の面談・評価・目標・振り返りの回答をメモと並べて確認できます。
沈黙を急いで埋めない
質問のあとに沈黙が続くと、上司はつい次の質問をしたくなります。部下は答えを考えている途中かもしれないので、すぐに言葉を足さずにしばらく待ちます。
それでも答えが出なければ、「たとえば、〇〇のようなことはありますか?」と、答えの例を示して聞き直します。
部下にテーマを選んでもらう
「今日は業務の話、これからの話、チームの話のどれから話したいですか?」と選択肢を示すと、部下が話しやすいテーマから始められます。事前に話したいことを1つ書いてきてもらう方法もあります。
短く終える日があってもよい
話すことが本当に少ない日は、15分ほどで切り上げても構いません。毎回同じ長さにこだわるより、続けることを優先します。
1on1で避けたい質問
聞き方によっては、部下が本音を話しにくくなる質問があります。代表的な例と、その言い換えを表にまとめました。
| 避けたい質問 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| なぜ期限に遅れたの? | 責められていると感じ、言い訳を考える時間になる | 何が進めにくくしていましたか? |
| 順調だよね? | 「はい」以外の答えを言いにくい | 予定と比べて、今どのあたりにいますか? |
| 〇〇さんと比べてどう思う? | 他人との比較は、評価されている感覚を強める | 前の期の自分と比べて、変わったことは何ですか? |
| それって、こうすればいいんじゃない? | 上司の答えを先に出すと、本人が考える機会がなくなる | どんな方法がありそうですか? |
| 何か不満はある? | 漠然としていて、上司に向けては答えにくい | 仕事を進めるうえで、変えたほうがよいと思うことはありますか? |
家庭の事情や病気の詳細など、プライベートに深く立ち入る質問も避けます。本人から話があったときは、仕事の調整で配慮できることを中心に聞きます。
まとめ
- 1on1の質問は部下が自分の考えを言葉にするきっかけです。助言の前に質問をします。
- よい質問は「開いた質問」「1つずつ」「『なぜ』より『何が』」「答えの言葉を拾う」の4つを満たします。
- 毎回すべてを聞かず、コンディション・業務・成長・キャリア・職場の関係から、その回のテーマを1〜2つ選びます。
- 新人、評価面談の前後、元気がないときなど、相手の状況に合わせて質問を変えます。
- 話が続かないときは、前回決めたことや本人の振り返りから入り、沈黙は急いで埋めません。
まずは次の1on1で使う質問を2〜3問だけ選び、前回の記録を読み返すところから始められます。
よくある質問
1on1の質問は、毎回いくつ用意すればよいですか?
30分の1on1なら、2〜3問を用意しておけば足ります。1つの質問から話が広がれば、残りの質問は次回に回して構いません。
用意した質問をすべて聞くことより、本人の答えを掘り下げることに時間を使います。
部下が「特にありません」としか答えないときは、どうすればよいですか?
漠然とした質問を答えやすい具体的な質問に変えます。「困っていることはある?」ではなく「今週いちばん時間がかかった作業は何でしたか?」のように聞きます。
それでも話が出ない場合は、1on1の目的が伝わっていない可能性があります。評価のための場ではなく本人のための時間であることを改めて伝えます。
1on1で評価の話をしてもよいですか?
話しても構いません。ただし、評価を伝えることが中心になると、部下は1on1を評価される場だと感じて、本音を話しにくくなります。
評価結果の説明は評価面談で行い、1on1では「次の期に向けて何に取り組むか」のように、本人の行動に目を向けた話をするのがおすすめです。
FEATURES